Mission.N
今でも覚えてる。
あたしの中学校の卒業式が終わったその日、すでに高校の卒業式を終えていた兄とあたしは家出をした。
置き手紙を置いて、必要最低限の荷物を持って、一緒に逃げたのだった。
兄が『霧ヶ峰電気』に就職してから1ヶ月後に家を借りてきて、あたしたちはそこに住むことになった。
あたしは昼はバイト、夜は定時の高校に通い、大検を取得した。
厳しい就職活動の末、あたしは総合電機メーカー『小野製作所』に就職が決まった。
就職先をそこに決めたのには訳があった。
兄はライバル会社――その中でも『小野製作所』――が持つ経営や技術などを欲しがっていた。
あたしがそこに就職をすれば、兄に情報提供ができるのではないかと思ったのだ。
両親を亡くしてから、兄はあたしの親代わりだった。
どうしようもない母方の妹から、兄はいつもあたしを守ってくれた。
今度は、あたしが彼の役に立つ番だ。
そんな気持ちから、あたしは産業スパイになったのだった。
あたしの中学校の卒業式が終わったその日、すでに高校の卒業式を終えていた兄とあたしは家出をした。
置き手紙を置いて、必要最低限の荷物を持って、一緒に逃げたのだった。
兄が『霧ヶ峰電気』に就職してから1ヶ月後に家を借りてきて、あたしたちはそこに住むことになった。
あたしは昼はバイト、夜は定時の高校に通い、大検を取得した。
厳しい就職活動の末、あたしは総合電機メーカー『小野製作所』に就職が決まった。
就職先をそこに決めたのには訳があった。
兄はライバル会社――その中でも『小野製作所』――が持つ経営や技術などを欲しがっていた。
あたしがそこに就職をすれば、兄に情報提供ができるのではないかと思ったのだ。
両親を亡くしてから、兄はあたしの親代わりだった。
どうしようもない母方の妹から、兄はいつもあたしを守ってくれた。
今度は、あたしが彼の役に立つ番だ。
そんな気持ちから、あたしは産業スパイになったのだった。