Mission.N
社長の言う通りに従ったら、兄を守ることができるのかも知れない。

母方の妹からいつもあたしを守ってくれた、たった1人の身内を。

「今度はあたしの番なんだ…」

2人で支えあって、時には助けあいながら生きてきた。

兄があたしを守ってくれたように、今度はあたしが兄を守る番がきたのだ。

あたしが社長の女になることで兄を守ることができるならそれでいい。

「お兄ちゃん、今度はあたしがお兄ちゃんのことを守るから」

鏡の中のあたしに向かって言い聞かせるように呟いた後、止めていたドライヤーを動かした。

守るためなら、あたしは何にだってなれる。

いや、何にでもなってやろう。

それがあたしの使命なのだから。
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