Mission.N
社長室に足を踏み入れると、社長はデスクに腰を下ろした。

「藍田くん」

デスクの前に立っているあたしの名前を呼んだ。

「はい」

ついにきたと思いながら、あたしは返事をした。

「昨日のこと、俺のものになるって言う話なんだけど…」

話を切り出した社長に、
「なります」

あたしは答えた。

社長があたしを見つめてきた。

あたしは茶色い彼の瞳を見つめ返すと、
「社長の女になります」
と、言った。

彼の女になることで兄を守ることができるなら、あたしはそれで構わない。

何故だかよくわからないけど、あたしたちの間に沈黙が流れた。
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