Mission.N
「君の正体…」

そう呟いた社長に、
「直孝さん」

あたしは社長の名前を呼んだ。

「んーっ、“さん”は余計だったかな」

社長はパチリと片目を閉じた。

それはつまり、
「直孝、ですか…?」

そう呼べと言うことですよね?

「そう、呼び捨てで呼んでくれるとありがたいんだけどね」

「…直孝」

「うん、いい子」

社長はニヤリと笑って、あたしから指を離してくれた。

呼び捨てで名前を呼んだことで自分のものになったなんて思わないでちょうだい。

社長の思い通りになんてさせないんだから。

「ところで今日の予定は…」

社長がそう言ったので、あたしは手帳を広げた。
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