Mission.N
その日の夜。

「ふぅ…」

息を吐いたあたしに、
「何かあったの?」

兄が聞いてきた。

「えっ…ううん、何でもない」

あたしは首を横に振ると、なすを口に入れた。

今日の晩ご飯は麻婆茄子だ。

ピリ辛のみそが舌のうえで広がったので、麦茶を口に含んだ。

「あのさ」

兄が話しかけてきたので、テーブルのうえにコップを置いた。

「別に食べながら聞いてくれてもいいんだけど」

兄はそう言ったけど、あたしは箸を置いて話に耳を傾けることにした。

「今度の休みなんだけど、空いてるかな?」

そう聞いてきた兄に、
「今のところは特に入れてないけど、何かあるの?」

あたしは聞き返した。
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