Mission.N
あたしが来週から社長の秘書?

「あの、2週間前から務めていた方は…?」

嫌な予感を胸に感じながら聞き返したあたしに、福山さんは口を閉じた。

――ああ、またやらかしたのね。

彼女の様子に、あたしは心の中で呟いた。

社長の秘書が変わったのは、今回で5回目である。

それもそのはずだ。

彼は誰もが振り返るくらいの端正な顔立ちをしている。

そのうえ、巨大企業の社長とくれば…もう言うまでもないわね。

社長の美貌に見とれて何もしないものもいれば、「目指せ、玉の輿!」と言わんばかりに仕事を放り出してアプローチするものもいる。

一体何しに会社にきてんだよ…と、ツッコミを入れたくなる。

「あなた、もう今年で4年目でしょう?」

そう言った福山さんに、
「いえ、3年目ですが…」

呟いているような声で、あたしは訂正を呼びかけた。
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