Mission.N
暴れている心臓を落ちつかせるために深呼吸をすると、
「――あたし、捕まっちゃうのかな…?」

告げるように、兄に言った。

「えっ?」

兄が訳がわからないと言うように聞いてきた。

「だって…」

震える声で話しかけようとしたあたしに、
「産業スパイをしていたとは言え、夏梅はこの件に絡んでいないんだろう?

何よりバレて…」

「社長にバレたのよ!」

兄の言葉をさえぎるように、あたしは叫んだ。

突然叫んだあたしを兄は驚いた顔で見つめてきた。

あたしは今までのことを全て兄に話した。

「そうだったのか…」

全て話し終えた後、兄は呟くように言った。

「ごめんなさい…」

震える声で、あたしは謝った。
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