Mission.N
足音が遠くに行ったことを確認すると、
「さて…」

あたしはデスクから立ちあがると、パソコンを閉じた。

「にらめっこも楽じゃないな」

コキコキと肩を動かして、凝り固まった筋肉をほぐした。

業務ならとっくの昔に終わっていたと言う話である。

パソコンの隣に置いていた手帳を開いて、時間の確認をする。

「うん、帰ってるな」

社長は1時間前に退社している。

カバンから化粧ポーチを取り出すと、そこからUSBメモリーを取り出した。

これからあたしがする仕事になくてはならないものである。

「さて、始めるとするかな」

まじめで“鉄の女王”と評されるあたしの裏の仕事の始まりだ。
< 9 / 92 >

この作品をシェア

pagetop