イレカワリ
喧嘩
いつもと違う事で頭を使ったあたしは疲れてしまい、そのまま朝まで眠ってしまった。


今日は休日だ、ゆっくり眠ろう。


そう思って開けた目を再び閉じた時だった。


リビングから怒鳴り声が聞こえてきて、あたしはハッと目を開けた。


「どうしてちゃんと聞かないんだ!」


「聞けるわけがないでしょう!?」


そんな両親の喧嘩がきこえてきて、あたしはベッドから起き出した。


どうしたんだろう?


歩の両親が喧嘩をしている所なんて見たことがない。


あたしは一階へ向かい、恐る恐るリビングのドアを開けた。


するとそこには散乱した食器や、倒れた椅子があり、いつもとは全く違った光景が広がっていた。


その光景にあたしは一瞬言葉を失ってしまった。


お母さんのすすり泣く声で、ようやく喉に張り付いた言葉が出た。


「ど、どうしたの?」


そう聞く事しかできなかった。


しかしその一言はお母さんの涙腺を更に崩壊させ、嗚咽混じりに大粒の涙を流しはじめてしまった。


「なんでもない。二階へ上がっていなさい」


お父さんが冷静な口調でそう言った。


なんでもない?


この惨状がなんでもないわけがない。
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