イレカワリ
気が付く
走って走って、学校の近くにある小さな公園まで来ていた。


休まずに走ってきたため、汗が流れ、呼吸が乱れる。


あたしは肩で呼吸をしながらポケットに手を突っ込んだ。


スマホだけは持って来ておいてよかった。


ホッとしながら純の名前を表示させる。


このスマホはあたしのものだから、あたしの名前で表示されるだろう。


それでも仕方がなかった。


今一番頼りになるのは何もかも知っている純しかいないのだから。


あたしは純に電話をかけた。


ほんの少しの間も待っていられなくて、スマホを耳に当てたまま公園内をぐるぐると歩き回る。


『もしもし?』


しばらくしてから困惑したような純の声が聞こえて来た。


純から電話を貰った事も、あたしから欠けたこともないから戸惑っているようだ。


「もしもし、いきなり電話しちゃってごめんね」


そう言いながら、あたしは自分の声が歩である事を思い出した。


『え? お前歩? どういう事?』


更に混乱した声が聞こえて来る。


説明している暇なんてない。


「ごめん、今から出られる?」


『今? あぁ、そりゃぁ大丈夫だけど』


「学校の近くの公園で待ってるから」


そう言うと、あたしは一歩的に電話を切ったのだった。
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