イレカワリ
☆☆☆

それから純が車での間、あたしはベンチに座って地面をジッと見つめていた。
あたしは何もわかっていない。


何も知らない。


歩と入れ替わっていなければ、知らなくていい事だった。


だけど今はもう知らなくていい事ではなくなってしまった。


視界の中に白い運動靴が見えた。


ジャリッと砂を踏む音が聞こえてきてあたしは顔を上げた。


純が怪訝そうな顔をして立っている。


「お前、なんでマホのスマホから電話して来るんだよ」


純が真っ先にそう聞いて来た。


あたしは自分のスマホを純に見せた、そしてこう言ったんだ。


「これ、あたしのだから」
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