イレカワリ
見たことのない車だ。


運転席に座っているサングラスをかけた男性にも見覚えはない。


あたしは歩が知らないサラリーマンと一緒に家に入って行く様子を思い出し、背筋が寒くなって行くのを感じた。


「ついて行こう」


純がキョロキョロと周囲を見回してそう言った。


そうしている間にも黒い車は走り出す。


「タクシーだ」


丁度いいタイミングで走ってきたタクシーを止めてあたしと純は、歩を追いかけたのだった。
< 109 / 125 >

この作品をシェア

pagetop