イレカワリ
歩はよどみなくそう言った。


確かに歩の言う通りかもしれない。


いつ、どうやって元に戻れるかわからない。


それはとても怖い事だったけれど、相手がクラスメートの歩だったという事で、なんだか安心もしていた。


これが全く見知らぬ強面のオジサンとかだったら、泣いて逃げていただろう。


あたしと歩は病院の近くにある公園へと移動して来ていた。


太陽はどんどん高くなり、日差しが暑い。


あたしたちは木陰のベンチに座り、自販機で買った冷たいジュースを飲んだ。


「で、まず俺の名前なんだけど」


「庄司歩。知ってる」


「だよな。俺もマホの名前は知ってるからいいとして、家はどこ?」


「学校裏の丘の上だよ」


「そっか。家も近くなんだな」


歩が頷く。


だから今朝あの場所で鉢合わせをしてしまったのだ。


「でも、今まで通学路で会った事はないよな?」


歩にそう言われ、あたしは頷いた。


「あたし、あの石段はめったに使わないの。急だし狭いから危ないでしょ?」


「あぁ、確かに」


歩は少しだけ笑ってそう答えた。
< 11 / 125 >

この作品をシェア

pagetop