イレカワリ
☆☆☆
トイレとお風呂だけ我慢すれば、家での生活はどうにかなりそうだった。
あたしは学校への道のりを歩きながらそう思う。
だけど、いつまでも両親を騙し通せるとは思えない。
早いうちに解決策を見つけなきゃいけない。
そう思うと自然と歩調は速くなり、昨日の石段までやってきていた。
あたしはその手前で足を止める。
昨日、ここで歩とぶつかり、2人で転げ落ちてしまったんだ。
思い出しながら石段の真ん中に付けられている手すりに触れる。
手すりは所々は禿げて赤く錆びた鉄が見えている。
「おはよう」
そう声をかけられて振り向くと、あたしが立っていた。
「おはよう」
あたしは歩へ向けてそう返事をする。
「自分に挨拶するって、変な感じだな」
歩はそう言うとポリポリと頭をかいた。
「あたしも、そう思ってた」
そう言い、クスッと笑う。
あたしと歩だけの特別な会話をしているようで、少しだけ胸が暖かくなった。
歩の事は好きではなかった。
でも、こうなってしまった以上意識するなと言う方が難しい。
トイレとお風呂だけ我慢すれば、家での生活はどうにかなりそうだった。
あたしは学校への道のりを歩きながらそう思う。
だけど、いつまでも両親を騙し通せるとは思えない。
早いうちに解決策を見つけなきゃいけない。
そう思うと自然と歩調は速くなり、昨日の石段までやってきていた。
あたしはその手前で足を止める。
昨日、ここで歩とぶつかり、2人で転げ落ちてしまったんだ。
思い出しながら石段の真ん中に付けられている手すりに触れる。
手すりは所々は禿げて赤く錆びた鉄が見えている。
「おはよう」
そう声をかけられて振り向くと、あたしが立っていた。
「おはよう」
あたしは歩へ向けてそう返事をする。
「自分に挨拶するって、変な感じだな」
歩はそう言うとポリポリと頭をかいた。
「あたしも、そう思ってた」
そう言い、クスッと笑う。
あたしと歩だけの特別な会話をしているようで、少しだけ胸が暖かくなった。
歩の事は好きではなかった。
でも、こうなってしまった以上意識するなと言う方が難しい。