イレカワリ
彼女に手を掴まれた彼氏の感覚って、こんななのかなぁ?


そんな事を思っているうちに教室を出て、ひと気のない廊下へと向かっていた。


「話ってなに? こんな大胆な事されたら、あたしリナたちにイジメられちゃうよ」


誰もいない事を確認して、あたしはそう言った。


「イジメられるのは俺だから大丈夫。返り討ちにしてやるから」


歩はそう言って立ち止まり、ニッと笑った。


歩はリナの正体をちゃんと知っていたようで、あたしはホッとした。


男子は案外女子の事をちゃんとみているのかもしれない。


「で、話ってなに?」


落ち着いた所でそう聞くと、歩は目を輝かせてあたしを見た。


「いい事を思いついたんだよ」


「いい事?」


あたしは首を傾げて歩を見る。


「俺たち、付き合っていることにしよう」


「へ……?」


歩の言葉にあたしはキョトンとしてしまった。
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