イレカワリ
☆☆☆

この日、あたしは歩と待ち合わせをしていた。


昨日から付き合い出したのだから、一緒に学校へ行こうと言う話になっていたのだ。


待ち合わせ場所はあの石段の一番上。


ここからあたしたちの生活は始まったのだ。


石段の前で待っていると、


「おまたせ」


と言う声が聞こえてきて小走りで歩がやってきた。


髪の毛にはあたしのお気に入りのヘアピン。


だけど少しズレている。


「歩、ちょっと来て」


そう言い、あたしは歩のヘアピンの角度を直した。


「あぁ、ありがとう」


歩は照れ笑いを浮かべる。


「マホがいつもつけていたから俺もつけているんだけど、なかなか難しいよな」


そう言って歩は頭をかいた。


「すぐに馴れるよ」


あたしはそう言い、2人並んで歩き出す。


第三者から見ればどこにでもいる高校生のカップルだろう。


あたしたちの心が入れ替わっているなんて、きっと誰も気が付かない。
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