イレカワリ
しまい忘れちゃった。


そう思い、写真を手に取る。


しかし、写真を見た瞬間あたしは動きを止めてしまった。


そこに写っていたのはこの家の玄関先でとられた写真だった。


歩と、そしてもう1人、歩にそっくりな男の子が中学校の制服を着て写っている。


「誰、これ」


あたしは思わずそう呟いていた。


はにかんだ笑顔がそっくりだ。


まるで、双子のような……。


そこまで考えて、ハッと息を飲む。


まさか、歩の兄弟!?


ここまでそっくりで、しかも玄関先で同じように並んで立っているのだから、兄弟だと考えるのが一番自然なことだった。


だけど、歩に兄弟がいるなんて聞いたことはなかった。


家にいてもその存在を見たことがない。


妙な胸騒ぎを感じる。


海。


失われた記憶。


兄弟……。
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