イレカワリ
☆☆☆

予定通り、あたしと純は海の墓参りへ行くことになった。


と言ってもあたしは海のお墓がどこにあるのか知らないから、純の後について歩いているだけだった。


学校裏の石段を上がり、丘の裏へと回る。


するとそこには大きな墓地が現れた。


あたしの祖先もここに眠っている。


海も、ここに眠っているようだ。


「ここだ」


先を歩いていた純が1つのお墓の前で立ち止まり、そう言った。


後ろから墓石を覗いてみると、庄司家という文字が見えた。


純は用意していた白い花をたて、墓石を簡単に掃除した。


これが海のお墓……。


あたしはぼんやりと墓石を見つめていた。


お墓詣りに来るとなにかわかるかもしれないと思っていたけれど、ここには見慣れた墓地が広がっているだけだった。


「さてと……」


墓石に手を合わせた純が顔を上げる。


くるりとあたしの方へ向き直り、笑顔を向ける。
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