イレカワリ
検査
それから少しすると救急車の音が聞こえてきて、外からバタバタとあしおとが聞こえて来た。


何事かとドアへ視線を向けていると、青い顔をした担任の先生と救急隊員が入ってきた。


「お前たち、気が付いたのか!」


あたしと歩を見て小田先生がそう声をあげた。


「あ、はい……」


歩が小さな声で答えた。


「よかった。2人とも石段から落ちて意識を失ってたんだぞ。近所の人が保健室まで運んできてくれて、慌てて救急車を呼んだんだ」


早口でそう言う先生の目には涙が滲んでいる。


いつも仏頂面をしている事で有名な小田先生の涙に、あたしはたじろいてしまった。


よほど心配をかけていたようで申し訳なくなる。


「今日は念のために2人とも検査しておきましょう。無理はさせない方がいいと思います」


救急隊員の1人が小田先生へ向けてそう言った。


小田先生は何度も頷き、「検査が終わったらそのまま帰っていいぞ」と、言ったのだった。
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