イレカワリ
☆☆☆

あたしはそのまま真っ直ぐ私立図書館へと向かっていた。


学校から徒歩15分ほどの場所にある図書館は、学生たちが多く利用する場所だった。


けれど、今日は時間も時間なだけあって、利用者は少なかった。


あたしは真っ直ぐ医療関係の書物が置かれている棚へと向かった。


心と体についての本を両手に大量に抱えていく。


入れ替わりについて少しでも書いていないかと、分厚い本にしっかりと目を通していく。


専門用語がずらりと並んでいてわからない時は、その言葉がなんなのか1つ1つ調べながら呼んでいた。


そうしているとあっという間に時間は過ぎていき、昼になっていた。


空腹を感じたあたしは手を止めて、ホッと息を吐き出した。


集中していたため、目も肩も痛い。


だけど、テーブルの上に置かれている書物はまだ半分も読めていない状態だった。


これを今日中に読み終わることは難しそうだ。


あたしは気分を変えるために、地域の情報コーナーへと移動した。


そこにはこの街の古い歴史から、未来のお祭りの情報まで調べる事ができる。


今年の花火大会は何日だろうとぼんやりポスターを眺める。


その時だった、ふと海の事が頭によぎった。


海が死んだのはいつなんだろう?


お墓詣りに行ったのに、ちゃんと確認していなかった。


けれど、12歳までの写真はあった。
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