友達、ですよね?
彼の名前は結城遥
「あのさ…僕、沙奈が好きなんだ!ずっと、前から…」
夕暮れの帰り道、ちょうど私の家に着いた頃。突然にそう言ってきた幼馴染の遥。物心ついたときからずっと私の隣にいる彼を、私は親友でしかないと思っていた。
「え…?」
私は驚くことしかできず、そう声を漏らす。ごめん、と言おうとして私が口を開きかけたとき、真っ赤な顔をした遥が言葉を紡いだ。
「沙奈に彼氏がいること、知ってる。でも僕、諦めないから!」
え、えぇぇ!?
普通そこは諦めるでしょ!?
…と思ったけど遥の諦めが悪いのは昔からだったことを思い出して、これは何を言っても無駄だと悟ったのだった。
「返事、今はいらないから。僕がもう一回告白した時に教えて。それじゃ、覚えといてね」
そう言うと遥は逃げるように帰っていく。
…といっても家は隣なんだけども。
私、どうしたらいいの…!?