白い月
宏哉はクラスでも人気者だ
それこそ、僕なんかと『親友』をやっているのが
不思議なくらいに

「宏哉ー。おはよー」
「はよー。聡史、また宿題やってねーの?」
「オネガイシマス!宏哉サマ!英語Bと数A写させて!」
「しやーねーな。ほら」
「やめとけって、宏哉。聡史はいつもやれない、んじゃなくてやらないだからよ」
「いーの、俺親切だから」

会話が聞こえる。

学校では僕と宏哉は基本別行動だ。
僕はあの輪の中には入れない。
宏哉もそれをわかってくれている。
だから、僕は本を読む。
孤独とは宏哉以上の長い付き合いだ。
ページをめくるついでに
僕は彼らを見て、毎回思う。
“眩しい”と
そうして、手首の傷に目がいく。

醜い傷
ずるい傷

僕は、ずるい。
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