俺は、お前がいいんだよ。【番外編】
「そうだ、これ…例の野菜!」
手に持っていた紙袋を受け取る。
中には夏野菜がたくさん入っていた。
「こんなにいっぱい、重かったろ?」
「ううん、平気。陽希に会えるんだな…と思ったら、重さなんて感じなかったよ。」
恥ずかしそうに笑う由依。
思わず抱きしめたくなる衝動を必死に抑えた。
「由依ちゃん、彩名といっしょに遊ぼ?」
「じ、実は…これで帰らなくちゃいけなくて。彩名ちゃん、ごめんね…。」
「えっ、由依ちゃん…もう帰っちゃうの?」
「うん…。午後に用事あるし、それに…お客さんも来てるみたいだし…。」
由依が気まずそうに向けた視線の先には、誠たちの靴があった。
「あっ、いや…客ってほどのヤツは来てねぇから!誠と中学時代の同級生が勝手に押しかけて来てるだけ。」
ったく、アイツら…由依に余計な気を遣わせやがって。