俺は、お前がいいんだよ。【番外編】

「陽希、ごめんね。私、そろそろ…」


気まずそうに切り出した由依に、誠と哲也は揃って俺を見た。


「えっ、もしかして…伊織ちゃん帰っちゃうの
?」


「俺、自己紹介しただけなんだけど…。ハル、もう少し話をさせてくれてもいいだろ?」


口々に主張する二人に鋭い眼差しを向ける。


「由依は、午後…用事があるから、もう帰らないといけねぇんだよ。諦めろ。」


“えーっ”とガックリ肩を落とす哲也を無視して、由依と一緒に部屋を出た。


「ほ、本当にごめんね…。ゆっくりと話が出来れば良かったんだけど……」


「全然、気にしなくていいよ。それじゃあ、駅に行こうか。俺、送ってく。」


「そんな、悪いよ!私、迷わずに駅まで行けるから!」


いや、俺が心配してるのは…そこじゃねぇし。


「一人だと、何かと危険も付きまとうから。それに、少しでも長く由依と一緒にいたい。」


少し顔を赤くして、コクンと頷く由依に笑みが零れた。


< 24 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop