俺は、お前がいいんだよ。【番外編】
それから、直ぐに家を出た俺たち。
夏本番を迎えた日差しは午前中から強くて、ジリジリと暑い。
「まだまだ気温が上がりそうだよな。」
「そっ、そうだね…。」
なんだか、由依の声がぎこちない。
顔も俯けたまま歩いてるし、こちらに視線を向けてくれない。
いきなり、初対面の哲也に紹介したこと…本当はあまり快く思ってなかったのかもな…。
由依、基本的には男子とあまり喋らないし。
今日は、俺の友達だからって特別に気を遣ってくれただろうから。
「ごめんな、由依。突然、俺の中学時代の同級生に紹介したりして…。しかも、アイツ…妙に緊張してテンションも高かったから、疲れただろ?」
そう口にした途端、由依は顔を上げた。
「ううん、疲れてなんかないよ!」
「でも、なんだか…様子がおかしくないか?」
「えっ…」
由依の顔が真っ赤に染まる。
足を止めた由依につられて、俺も立ち止まった。