Double Cool
 トントン。




 「…………」




 異様に長い時間に感じられた。


 けれど修司は眠ってしまっているのか、返事を返してくれない。


 再びノックをしようとして、けれど思い直してそっとドアのレバーに触れる。


 レバーは予想に反して、鍵はかけられていなかったらしく、あっさりと動いた。


 それはそうだ。


 何を変な心配をしていたのだろう。


 きぃぃぃ~。

 
 普段はドアの開く音など気になったことがないのに、妙に響いた気がして、胸がドキドキした。


 間接照明の薄明かりの向こう、ベッドの上の人型に盛り上がった塊は、美澄が部屋に入ってもピクリも動かない。


 …眠ってしまったの?


 それでもなんとなく、気配を殺して、ゆっくりと修司の傍らへと歩み寄る。


 柔らかな黒髪のカタチのいい後ろ頭を眺めて、しばし悩む。




 「……修司」




 密やかな声は、それでも彼が起きていれば聞こえるだろう。


 何も答えてくれない修司は、だが眠ってはいない気がした。




 「修司、一緒に眠ってもいい?」 





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