Double Cool
 カッタコト、カタコト。


 ジョボジョボジョボ、カツン。


 耳慣れた朝の音と気配。




 「……ん」




 呻いて寝返りを打てば、明るい朝の光に眠りを妨げられ、意識が急浮上する。


 とたん、鼻の先に香ったのは、いつもの香ばしいコーヒーの香り。


 ハッと目を覚まして、無意識のうちに横を探れば、すでにシーツの隣は冷たく冷えてしまっていた。


 …やだ、目覚めのコーヒーくらいは、私が淹れようと思っていたのに。


 甘やかしてくれる修司の優しさに、いつも甘えてしまって、その度に美澄はいつも軽い自己嫌悪に苛まれてしまう。


 そんな時、必ず修司が言ってくれる言葉。




 『美澄が起きられなくなってしまうのは、いつも俺のせいだからさ』




 ふいにいつもの彼のセリフが耳元に蘇った気がして、一人照れてしまった。 


 顔を上げれば、やはりいつもの彼の部屋で、特に目新しいものでもない…そのはずなのに。


 なぜか今日に限って、それが妙によそよそしく寒々しいように感じた。


 …どうして?





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