Double Cool
昨夜は不穏な終わりだったわりに、満ち足りた時間を過ごして気持ちは固まったはずなのに。
けれど、そんな不可思議な感覚の理由にすぐに気がつい、て美澄はなぜかそれがひどく不安な気がした。
…修司、起こしてくれなかったんだ。
いつも、先に起きてコーヒーや朝ご飯の支度をしてくれる修司だったけれど、それでも必ず目を覚まして、ベッドから抜け出す時にはおはようのキスと声掛けをしてくれるのだ。
それで美澄が起きられれば、彼女も彼と一緒にキッチンに立って、あれやこれやとサポートしながら朝の一時を修司とともに楽しむ。
たぶん、それこそが二人の‘美しい人生’であり、そうと知らぬ間に過ごしてきた日常の一コマ。
「修…司」
すっかり掠れてしまっている自分の声音に、少しだけはにかみながら、サイドテーブルに畳んで置かれてあった修司のシャツを部屋着がわりに身に纏って、開け放たれたままのドアヘと歩みよる。
修司は…彼女の予測とは違って、キッチンに立ってはおらず、コーヒーを淹れたマグカップを両手で包み込むようにして、ダイニングチェアにぼんやりと座って窓の外を眺めていた。
「修司?」
彼女の密やかな声に、夢から覚めたような顔の修司が、ゆっくりと振り向く。
どこまでも静謐な顔というべきか、不思議に彼の感情が見えなくて、そんな彼の表情が逆に美澄の心を不安に波立たせた。
けれど、そんな不可思議な感覚の理由にすぐに気がつい、て美澄はなぜかそれがひどく不安な気がした。
…修司、起こしてくれなかったんだ。
いつも、先に起きてコーヒーや朝ご飯の支度をしてくれる修司だったけれど、それでも必ず目を覚まして、ベッドから抜け出す時にはおはようのキスと声掛けをしてくれるのだ。
それで美澄が起きられれば、彼女も彼と一緒にキッチンに立って、あれやこれやとサポートしながら朝の一時を修司とともに楽しむ。
たぶん、それこそが二人の‘美しい人生’であり、そうと知らぬ間に過ごしてきた日常の一コマ。
「修…司」
すっかり掠れてしまっている自分の声音に、少しだけはにかみながら、サイドテーブルに畳んで置かれてあった修司のシャツを部屋着がわりに身に纏って、開け放たれたままのドアヘと歩みよる。
修司は…彼女の予測とは違って、キッチンに立ってはおらず、コーヒーを淹れたマグカップを両手で包み込むようにして、ダイニングチェアにぼんやりと座って窓の外を眺めていた。
「修司?」
彼女の密やかな声に、夢から覚めたような顔の修司が、ゆっくりと振り向く。
どこまでも静謐な顔というべきか、不思議に彼の感情が見えなくて、そんな彼の表情が逆に美澄の心を不安に波立たせた。