Double Cool
 「…………」




 あまりな真剣な眼差しに喉が渇く。




 「美澄は、俺の観賞用ってこと?」

 「…は?」

 「ふっ」




 思わずかあああっと赤面しかけて、必死で威厳を保つ。


 それでも修司にそうして熱く見つめられるとそれだけで、まるで年端もいかない小娘のようにいとも容易く翻弄されてしまう自分がいる。




 「お前、俺の前だけでそんなに無防備でいいの?」

 「…いけない?」

 「可愛いよ。すげぇ優越感が刺激される。世間ではクールなキャリアウーマンで通ってるお前が、俺にだけ見せてくれる顔に惚れてるし、溺れてる。お前がそこに座っていてくれるだけで、ウキウキして俺を幸せな気分にしてくれるよ」

 「………」




 撃沈。


 綺麗な顔で優しく微笑んでくれる恋人に、むしろ美澄の方が溺れてる。


 もう何年もずっと、彼にだけ。




*****





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