恋するBread*それでもキミが好き
電車を降り、前に高瀬さんからもらった名刺に書いてある住所に向かった。


半分欠けた月を背に、息を切らしながら走る。


木が生い茂る公園の横を通ろうとしたとき、スマホが鳴った。


『あ、美緒ちゃん?会社出たんだけど』

「すいません……私、いま向かって……」


そう言いかけて、私の足が止まった。

少し先に、彼の姿を見つけたから。


スマホをバッグに入れ、少しずつ近づく。私に気づいた彼もまた、歩き始めた。


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