恋するBread*それでもキミが好き
「勝手に来てしまってすいません。でも、早く会いたかったから」


深呼吸をして息を整えた後、目の前にいる高瀬さんを見上げた。

高瀬さんはそんな私を見て、優しく微笑む。


私の心はずっと高瀬さんでいっぱいで、こんなふうにあなたを前にするだけでドキドキして、胸が苦しくなって。

私じゃ釣り合わないかもしれない。

あなたに似合う人がもっと他にいるかもしれない。

あなたを好きすぎて、また勝手に不安になるかもしれない。


それでも……


「私は……」


「待って!」


私の言葉を止めた高瀬さんが、その温かくて大きな手で正面にいる私の左手をスッと握った。


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