恋するBread*それでもキミが好き
●おからロールの憂鬱
時刻は22時。書類に囲まれたデスクで、送られてきたデータをチェックしながら軽くため息をつく。
今日は帰れないかもな。
社内には自分を含め数人の社員が残業をしていた。
「んーくぁー」
思い切り伸びをする声と背もたれのギシギシという音が重なる。
少し休憩するか。
鞄を持ち上げ、中に入っていたビニール袋を取り出し自販機でコーヒーを買った後、休憩室へと向かった。
休憩室と言っても大きなテーブルにパイプ椅子が置いてあるだけの部屋。中には誰もいなかった。この時間じゃあたり前か。
窓際の椅子に腰掛け、ビニール袋の中身を取り出す。
手にもっているのは少し潰れたパン。それをひと口かじった。
「……うまいな」