恋するBread*それでもキミが好き
『嘘でしょ?なにその急展開』
高瀬さんが帰ってしばらくした頃、誰もいないお店の中で私は真紀に電話をしていた。
「私だって、絶対に断られるって思ってたんだよ。でも高瀬さんは……」
〝どこに行く?時間はあまりないけど、美緒ちゃんの行きたいところでかまわないよ〟
その言葉が信じられなくて、考えてる暇なんかなくて、デートができるってことだけで頭がいっぱいになった私は、〝遊園地に行きたい〟なんて子供みたいなことを言ってしまった。
『で、いつ行くの?』
「それが……今日、なんだ」
『は~?今日!?』
短い時間になっちゃうけど今日の夕方からなら大丈夫って言ってくれた高瀬さん。
心の準備をする暇はないけど、私のために時間をつくってくれるってだけでうれしかった。
超が付くくらい有名な遊園地までは電車で30分の所に住んでるのに、数回しか行ったことがない場所。
「高瀬さんは仕事が終わってそのまま来るって行ってたから、私もこれから向かおうと思ってる」
『とりあえず、美緒は好きになったら全力でぶつかりすぎるところがあるから、焦りは禁物だよ』
「分かってる。行ってくるね」