恋するBread*それでもキミが好き
19時半、待ち合わせ場所の遊園地入口。

いつもは動きやすいパンツしか履かない私がワンピースを着ている。

今出来る精一杯のお洒落をして、彼が来るのを待った。

うれしい気持ちと不安と緊張、色んな感情が交ざりあう。


それからすぐ、小走りで近づいてくる彼の姿を見つけた。

「待たせちゃってごめんね、ジャケット邪魔だからロッカーに預けてきたんだ」

ネクタイをはずし、ワイシャツの袖を肘まで捲っている高瀬さんの額には、うっすら汗が滲んでいた。

「私こそ、忙しいのにこんなお願いをしてしまってすいません」

「気にしないで。ここには確か10代のときに来たっきりだから、実はちょっとワクワクしてるんだ」


やっぱり、高瀬さんは優しいよ……。

絶対忙しいのはずなのに、わざわざ時間をつくってくれて、私に気を遣わせないようにしてくれる。


「さ、入ろうか」

「はい」

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