恋するBread*それでもキミが好き
看板をお店の外に出すといつの間にか雨はあがっていて、ジメっとした空気が体にまとわりついた。

開店直前、作業場にある鏡で自分の姿をチェックすると、薄いファンデーションのみの顔を見て軽くため息をつく。


そして朝7時、オープンとほぼ同時に〝おからロールさん〟はやってくる。

お店の中からその姿が見えたとき、ほんの少し胸が高鳴った。

「いらっしゃいませ」

濃いグレーのスーツがよく似合う長身、ハッキリした目鼻立ちに少しクセのある黒髪。
いわゆるイケメンだ。

好みは人それぞれだけど、初めてあの人を見たときに受けた衝撃は今でも忘れられない。

毎日沢山のお客さんに出会うけど、レジをするときに緊張で手が震えたのは初めてだった。

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