恋するBread*それでもキミが好き
「あ、今隠した!ますます怪しいな~」

「余計なこと言ってないで、浦川(うらかわ)さんから原稿あがってきたのか?」

「それが聞いてくださいよー、昨日までって散々言ったのに、今何時だと思いますか?日付またいでもう16時になっちゃいましたよ!」


うちの雑誌にコラムを書いている浦川さんを担当してるのが、この藤村だ。

浦川さんはちょっと曲者らしく、毎回こうして俺に愚痴をこぼしてくる。


「この前なんて、担当が高瀬さんだったらよかったのに、とか言われちゃって。どうせ俺は先輩みたいに男前じゃないですよー」

「そういじけるなって。浦川さんはお前を気に入ってるからこそわざと意地悪してるんだ。お前にしかつとまらないよ」

「ほんと先輩って優しいし男前だし、言うことなしなのになんで彼女いないんすか?」

「うるさい」

そう言って側にあった書類の束で藤村の頭を軽く叩いた。

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