恋するBread*それでもキミが好き
「美緒ちゃんが他の男に言い寄られてるって思ったら、すごく嫌だったんだ」

駅に近いこの場所には人がたくさん歩いているはずなのに、私の耳には高瀬さんの声しか届かなかった。

「でも、美緒ちゃんのこと好きだけど、その真っ直ぐな気持ちに答えられるのか、今でもまだ分からないんだ。こんなことしておいて、ほんと最低な男だよな……」


私やっぱり、高瀬さんじゃなきゃダメなんだ。


「最低なんかじゃありません。都合のいい言葉を並べたり嘘をついたりしないで、ちゃんと本当の気持ちを言ってくれたんですから。私、高瀬さんに好きになってもらえるように、がんばります」

そう言って私が微笑みかけると、高瀬さんも恥ずかしそうに笑ってくれた。

がんばってがんばって、それでもダメなら、その時はキッパリ諦めよう。


「一緒に、帰ろうか」

「はい!あ、でも……」

「ん?」

「鞄……置いてきちゃいました〃」



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