片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
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無事に挙式披露宴を終え、家元が決めた新居にお引越しの日。

「夏芽、元気でな」

お母さんとお婆ちゃんに見送られ、冬也のBMWの助手席に乗り込んだ。

「じゃどうも。また、遊びに来ます。お義母さん」

「お婆ちゃんも元気でね」

私はお婆ちゃんから貰った糠漬けの入った紙袋を膝に置いた。


「行くぞ。夏芽」


「うん」



30年間暮らした自宅に別れを告げて、冬也と新たに暮らす新居へと向かう。

「俺達の暮らす部屋のキーだ。もう一つはエレベーター用だ。夏芽」


冬也は信号待ち、封筒に入ったカードキーを手渡した。


「家元が決めてくれた新居ってどんな所?」


「東京湾に面して建てられた白いタワーマンションの50階らしいよ」


「タワーマンション?」

「タワーレジデンス・東京ベイだったかな?会社行くにはにゆりかもめに乗らなきゃいけないから。不便なんだよな」


「そこって、濱部副社長と小陽さんが住んでるマンションだよ」

「えっ!?そうなの?」



「二人の部屋は最上階よ」
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