片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「これは私と小陽さんだけの秘密ですからね」

「夏芽さんがそう言うなら、二人だけの秘密ね」

私達は指切りげんまんを交わす。

「私の秘密も教えてあげる。私と拓真さんとの間には3人子供がデキたの。でも、皆人工授精で…皆流産しちゃった。流産する度に拓真さんは私を慰める為に犬を飼ってくれた。
そこに居る3匹の犬は私達の子供の代わり。ショコラとあずきは姉と弟。2回目の妊娠は双子だったの。
でも、私は二人共流産してしまった・・・」

「小陽…さん」


「私達の不妊治療は両家共に知らない。ナイショなの。不妊の原因は拓真さんにあって、彼からすれば寝耳に水の話で。彼は誰にも話さないと言う条件で、不妊治療を前向きに考えてくれた。人工授精は7回試して2回成功したけど、結果は流産。次は体外受精を勧められたけど。彼はもう子供は要らないと拒否して、今は私だけが不妊治療をしている・・・」


小陽さんは涙ぐみながら伊集院様と陽那様にも話せない辛い出来事を話してくれた。



「私、誰かに訊いて欲しかった。同情とかじゃなく、唯訊いて欲しかった。
稜真さんの所はもう二人目を授かってるし、長男の嫁としての立場もない」


涙ぐむ小陽さんに慰めるようにダニエルが近寄って来た。


ショコラやあずきも小陽さんの元に寄り添う。


「小陽さんを慰めに来てくれたのね」


「拓真さんと私の子供達だもん。でも、私…赤ちゃんが欲しい」

小陽さんの声が切実過ぎて私も貰い泣きしてしまった。


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