片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
冬也side~
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「これが、今朝お話していた敦司様からお預かりしたワインです」
「ありがとう。緑川さん。主人は居ませんが、コーヒーでも飲んでいって下さい」
「しかし・・・遠慮しておきます」
副社長が居ない時、部屋に入るのはマズいような気がするので断ったが、中からダニエルが飛び出して来て、俺のシャツの袖に噛みつき引っ張った。
「ダニエルが遊びたいって言ってますよ。緑川さん」
「分かりました。少しだけお邪魔します」
俺は中へと入った。
俺達の部屋よりも間取りが広く、東京の夜景が美しく見えた。
「見晴らし、最高ですね」
「そう?」
小陽さんは大理石のテーブルにコーヒーと小さな菓子を置いた。
「これは一昨日、代官山へ行った時に購入したカヌレです。どうぞ召し上がって下さい」
「ありがとうございます」
俺はソファに腰を下ろし、コーヒーとカヌレをご馳走になった。
「夕食は召し上がりました?」
「いえ、これからです」
「じゃ召しあがります?」