片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
俺は小陽さんが副社長の為に置いていた夕食を御呼ばれした。


「本当に食べていいんですか?」


「今夜は遅くなるとメールを貰いましたから」

「いただきます」

俺は小陽さん特製の牛タンシチューに口に運ぶ。時間をかけて煮込まれた牛タンは口の中で蕩けそうだった。

家庭料理を超えた本格的な味に感嘆した。


「小陽さん、料理上手ですね。凄く美味しいです」

「緑川さんにそう言って貰えたら嬉しいわ」


小陽さんは柔らかな笑みを浮かべて俺の前の椅子に腰を下ろした。


育ちも料理も容姿も全部、非の打ち所がない完璧な女性だ。


そんな女性を嫁にする副社長にもそれだけの力量がある。理想の夫婦だな。


二人に足りないのは子供だけ。

子供さえ居れば、完璧だと思う。
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