片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
私達3人はドンペリでカンパイする。

「夏芽さんの弟だからって、俺はお前のしている行為は許さない」


「俺は唯小陽さんに店に来て貰いたいだけです。別に愛人なろうとかそんなコトは考えていませんよ」


「愛人って・・・お前…小陽が誰の娘か知っててそんなコト言ってんのか?」


「伊集院敦司元総理の娘でしょ?」

「そうだ。元総理の娘だ」

「あんたこそ、そんな元総理の娘を放って、夜な夜な飲み歩いてるクセに。愛人だって何人も囲っているんだろ?」

「愛人は居ない!」

「居ないのか・・・ふうん」

私は颯と拓真さんの間に入り、オロオロする。


「颯・・・何でホストなんてやってるの?」

「金になるから・・・そう言う姉ちゃんこそ、結婚したの?」


颯は私の左手を掴んで、薬指のマリッジリングをジッと見た。


「うん。まぁ~先月の27日に結婚した」


「何?新婚さん?」


「まぁね」


「相手は誰?」


「誰って・・・」


「緑川冬也。華道の氷見流緑川派の次期家元だ」


「緑川って!?緑川奈都也の・・・」

「冬也は奈都也さんの息子さん」

「へぇー・・・母さんは何て言ってた?」


「別に何も…幸せになれって・・・」

「ふうん」
颯は急に表情を変え、黙ってしまった。

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