片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「じゃいってくる」

「いってらしゃい」


有休で休む夏芽は玄関先まで見送りに出て来てくれた。


俺の夢見ていた新婚さんの日常。

新妻といってらっしゃいのキスを交わして出勤する。

「キスしていいか?」

「いいけど」


夏芽は戸惑いながらもOKしてくれた。


「ありがとう。夏芽」

自分の妻なのに礼を言うのは変だけど、俺は夏芽から沢山のモノを奪ってしまった。


心は通い合ってないけど、キスの味は蜜だ。

俺は夏芽の唇にキスを落として、もっと深くその蜜を貪りたくて口内に舌を入れて、彼女の口内を蹂躙する。


白い糸の引き合い、遠ざかる唇と唇。


夏芽は白い頬を赤くして、間近に見える俺の瞳から瞳を逸らす。


「ゴメン、濃厚過ぎたな。いってくる」

俺は陶然とする夏芽を置いて出勤した。


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