片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
二人は私を置いて立ち去ってしまった。


小陽さんは不妊治療を諦めるつもりだろう。

まだ見ぬ我が子よりも、目の前に居る夫の拓真さんの方が大切なんだ。


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「粗茶ですが、どうぞ」

「気を遣わせてすまない」

冬也は伊集院様を連れて帰宅した。

「拓真君の様子が変だと濱部社長から電話を貰って、ここに来たんだが、部屋には入れて貰えなくて」

「そこに居合わせた俺が敦司様を連れて来たんだ。夏芽」

「事情は分かりました」


「冬也君、拓真君から何か訊いていないのか?」


「訊かれても・・・」


伊集院様は何もご存知ない様子だけど、赤の他人の私達が話していいコトなのか迷う。


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