片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
私は真っ赤に頬を染めて、味噌汁を啜った。

目の前の冬也の顔をまともに見れない。


冬也は何食わぬ表情で私に話し掛けて来る。

私は無口になり、彼の話に相槌を打つだけで精一杯だった。


後片付けをしようとキッチンに立ってると背後に気配を感じる。


「美味かったよ。夏芽。ご馳走様」


冬也が後ろから私を抱き締めて、耳許で甘い囁きをくれた。


「と、冬也っ!?」


「ちょっと俺が甘いコト言っただけで、赤くなる夏芽。最高に可愛い。もっと早くこんな夏芽を見たかったなぁ」


「あ、洗い物が出来ないから離れて・・・」

「そのままシンクに付けておけばいい。それよりもキスしよう」


「キスって・・・私まだ、歯磨いてないし。ダメ」

冬也はカラダを離し、くるっと自分の方に私のカラダを向けた。肩にかかっていた手を腕に滑られ、そのまま腰を抱いて来た。


カラダが強張り、変な力が入る。


「その反応いいね。何だか初めてのキスみたい」



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