片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
彼の方が俺に会いたいと言って今宵店に招待した。



話題は俺の知らない夏芽の幼少時代の話。彼は離婚の際に父方に引き取られたようだ。

「私、お手洗いに行って来るね。冬也に颯」


「そう?いってらしゃい」
颯君は手を振って夏芽を見送った。


俺と颯君の二人。


「冬也さんも俺の母さんと冬也さんの父さんの関係知っているようだな」


「やはり颯君も知っていたのか・・・」

「俺達他人じゃないよね」


「そうだな」


俺達は義母兄弟。
俺の父さんと夏芽の母さんの間には子供が生まれていた。


「でも、夏芽は何も知らない。
俺は一生、夏芽にはこの件に関しては口を噤むつもりだ」


俺は夏芽と一生連れ添うつもりでいる。
その為にも父さんとお義母さんとの不倫関係であった事実は隠し通さなければならない。

「冬也さんは本気で夏芽姉ちゃんを愛しているんだな」


「そうだ。俺は夏芽を愛してる」







< 186 / 359 >

この作品をシェア

pagetop