片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
冬也と同じ華道家。それも本家の家元。

彼の華道の腕も冬也と同じで繊細で優美な感じだろう。

でも、彼の言葉は容赦がない。平気で人の心を踏みにじるのだ。

拓真さんと小陽さんだってこの5年間ずっと不妊で悩み続けた。

誰にも言えず、二人で苦しんで不妊治療を続けたが、子供には恵まれていない。


「俺は殴るなんて・・・何様だ?」

「貴方こそ何様?拓真さん達の苦しみを何も知らないクセに・・・小陽さんが貴方を選ばなかった理由は一つ。
貴方の愛はエゴの塊だからよ」


「・・・俺は愛されてコトが無いんだ…仕方がねぇだろ」


彰成様は叩かれた頬を押され、一人ブツブツと呟く。

室内を包む雰囲気はフクザツ。


誰ひとり口を開かない。


「彰成様には悪いけど、小陽さんは拓真さんの奥さんだし、諦めるべきだと思う」


冬也の言葉を無視して、彰成様は出て行ってしまった。


「・・・ムカつくからって、外野のお前が彰成様を叩くコトないだろ?夏芽」

「だって・・・」

「夏芽さんが叩いてなかったら、俺が殴っていたと思う。夏芽さん、ありがとう」

「拓真…さん」







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