片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「お前、いつフランスから帰国したんだ?」

冬也は立ち上がって、香苗さんに近づいた。


そしてそのまま・・・自己紹介するコトなく、久しぶりに再会した香苗さんと談笑し始める。


「冬也、奥さんの夏芽さんにキチンと彼女を紹介してやれよ」


「え、あ・・・そうだな。紹介する。笹沼香苗
(ササヌマカナエ)だ」

「初めまして、冬也とは幼なじみの笹沼香苗です。今は冬也の父親の奈都也さんの元で弟子入りしてフラワーアーティストを目指しています」


私も立ち上がり

「冬也の妻の夏芽です」


簡単に挨拶して腰を折った。


「冬也、俺も自己紹介した方がいい?」


「ソファに座るのは『星凛堂』の濱部副社長だ。香苗」


「濱部副社長のコトは存じておりますよ」


「冬也にこんな美人の幼なじみが居たなんて初耳だ」


「美人だなんて・・・」

香苗さんは謙遜した。


「それよりも伊集院様が貴方を探していましたよ。冬也」


「ええ~っ!?」

「貴方は緑川派の次期家元でしょ?こんな所で油を売ってないの」


「冬也、一緒に行こうか?」

「そうですね。夏芽・・・後片付け頼む」


「分かりました。いってらしゃい」
私は冬也と拓真さんを見送った。




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