片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「離して」
「綺麗な指だな。待ってろ」
彰成様は指の傷口を確かめると、持っていたスマホケースを開く。
ケースのポケットに忍ばせた絆創膏を一つ取り出し、私の指に巻き付けた。
私は茫然と絆創膏を見つめた。
「礼位言えよ。夏芽さん」
「あ、ありがとう・・・」
私は彰成様に礼を言った。
「俺は行くけど・・・あんたはどうするの?」
「私も行きます・・・」
私に平手打ちを食らわされ、怒って出て行った彰成様。
「怒ってないの?」
「あ・・・人に叩かれたのは初めてだ。どんなに悪さをしても、敦司様に叩かれたコトがなかった。
まぁ、あんたの言う通り・・・小陽に対する想いは俺のエゴの塊かもしれない。
表立っては皆言わねぇけど、妾の子供が家元に継承したんだ。影で何を言われてるか・・・
小陽を嫁に欲しかったのは・・・伊集院家と繋がりたかったんだ」
彰成様は自身の出生を・・・
小陽さんを妻に迎えれば、自身のステイタスが上がると思ったんだ。
「濱部拓真は大手化粧品メーカーの御曹司。
小陽と釣り合いが取れない男じゃないとは思ってる」