片恋シンデレラ～愛のない結婚は蜜の味～

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リアルに星苑ボイスが訊けるチャンスを逃し、残念だった。


私と冬也、引継ぎを済ませて『ハートフル』を退職した。


「よろしくお願いします。伊集院理事」


「分からないコトがあれば、小陽に訊くといいよ。夏芽さん」

「はい」


私は財団法人『氷見流』の理事長秘書として働くコトになった。


次期家元夫人として、華道の世界を理解しなければならない。


「挨拶はそれぐらいにして、敦司様外出準備を」


「そうだな。小陽、私は柊と共に外出するから、留守を頼むぞ」


「承知しました」


「私は何をすればいいんですか？」


「小陽の指示で仕事を片付けてくれれば良い」


「承知しました」


伊集院様はそそくさに秘書の柊さんを伴い、外出した。


「お父様も忙しい方です。『氷見流』の理事長と並行して､いろんな仕事をこなしているので、週3回しかここには来ません。私がお父様の指示の元、事務処理をこなしています」


「そうなんだ・・・」